現行のリチウムイオン充電池よりも優れているという、次世代充電池『全固体電池』が注目を集めています。
全固体電池ってどんなものなのでしょうか?
調べてみましたので、わかりやすくお伝えします。
リチウムイオン電池の弱点
現在、スマートフォンや電気自動車にバッテリーとして使われているリチウムイオン充電池。
繰り返し何度も充電出来て便利ですよね。
でも、リチウムイオン充電池にも弱点があります。
熱に弱い
リチウムイオン電池は高温の状況下では著しく性能が落ち、バッテリーの能力も劣化します。
性能が落ちるばかりではなく、発火の危険性もあります。
近年、サムソンのスマートフォンが発火事故を起こし、リチウムイオン電池でつくられたバッテリーが原因だったのは記憶に新しいところです。
もちろん、通常の環境下では大きな問題は起こらないはずですが、リチウムイオン電池が推奨環境下が60℃以下となっていることは覚えておいた方がよいでしょう。
これは、電解質が液体のため、高温化では化学反応を起こして余計な物質が電極に付いてしまうことが原因になっています。
稼働時間や重さへの要望
「スマホのバッテリーがすぐなくなっちゃう・・・」
皆さんが経験されたことがあるお気持ちだと思います。
近年はだいぶ改善されてきたかもしれませんが、ナビやマップアプリを使うと消費が早いとか、今でも感じる方は少ないくないと思います。
なくなった時のためにモバイルバッテリーを携帯することになるわけですが、これも容量が大きなものはそれなりの重さになりますよね。
バッテリーは昔と比べると小さくはなりましたが、電気自動車を動かすほどの動力を考えると、まだまだバッテリーの占める体積や重さの割合は大きいです。
2017年型の日産リーフは車両重量1500㎏のうち、電池パック重量は303kgで、全重量の20%を占めています。
初期よりも性能は向上していますが、バッテリーは稼働時間が長いに越したことはありませんし、軽いに越したことはありませんよね。
充電時間がまだ長い
日産リーフであれば、空の状態から満充電まで200Vの充電器で約8時間かかります。
高速道路などに設置されている特殊な50kWの急速充電器を使えば30分ほど(バッテリーの劣化を防ぐため80%までの充電)で済みますが、家庭用の100Vのコンセントでは、なんと約28時間も掛かります。
全固体電池の優位性
全固体電池は、上記のようなリチウムイオン電池の弱点を大幅に改善してくれる次世代の蓄電池です。
開発者は日本人。
東京工業大学の菅野了次教授です。
なんと開発には30年もの歴史があるとのこと。
随分年月がかかったのですね。
そんな高性能の電池ができたのは何故でしょうか?
一言で言って答えは、材料を『固体』にしたからなのです。
なぜ「固体」という言葉を使うのでしょうか?
リチウムイオン電池内で電流が流れるための電解質は「液体」です。
その方がイオンが流れやすいわけです。
しかし、液体であるがゆえに、上記のような問題も起こります。
そこで、なんと電解質を固体にしてしまったわけです。
固体だとイオンが流れないと思いますが、菅野教授の研究で長い年月をかけて、固体でもイオンが流れる物質を見つけ出したというわけです。
発見するまでには1000種類以上の電池を作られたのだとか・・
熱に強い!
全固体電池は100℃の環境下でも全く劣化せず問題なく使えます。
そもそも内部の電解質は500℃の環境下で作られたもので、100℃でも150℃でも問題なく使えるそうです。
しかも高温の方が、電流がよく流れるとのこと。
電気自動車など、使用中に高温になりがちなものを動かすものには、頼れる電池になりますね。
スマホの発火事件もすっかりなくなるでしょう。
稼働時間は3倍!
全固体電池の稼働時間は、同じ容量のリチウムイオン電池に比べて、なんと3倍です。
これは、電解質を固体にしたことで、イオンの移動能力は3倍になったので、単純に電池の能力が3倍になったのです。
同じエネルギーを出すための電池の大きさは3分の1で済むので、重さを軽くすることもできますね。
また、リチウムイオン電池のように液体の電解質を囲うためにケースを厚目に覆う必要がないため、サイズも小さくなります。
充電時間は3分の1!
さらに、イオンの移動能力が3倍になったので、充電スピードも3倍になります。だから、充電に掛かる時間は3分の1で済むわけです。
これは本当にありがたいですね。
全固体電池が実用化されれば、電気自動車や家庭用の蓄電池の価格が安くなるので一気に普及して再生エネルギーの普及にも大きく貢献してくれるでしょう。
実用化は2020年頃になるとのこと。もうすぐですね。
早く、世の中に出回って欲しいですね。
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